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2017年4月15日

企業の成長過程における経営課題5:株式の上場準備~ACS便りNo.10 

 

〈横浜の夜景

大変お世話になっております。

株式会社ACSの淡路です。

ACS便りNo.102017/4/15)』を送付します。

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中期経営計画を策定・推進し業績が拡大基調を続けると、経営者は、自分や一緒に苦労してきた役員・社員の操業者利得の獲得と株式市場からの資金調達等を目的にして新規株式上場(IPO)をめざすようになります。 株式の上場準備を3年程度行い、先ず東証マザーズ等東証1部以外の株式市場に上場します。さらにそこから2~3年かけて東証1部に上場するのが理想的です。

今回は、企業の成長過程における経営課題への対応として、IPOを行うための『株式の上場準備』を取り上げます。
株式の上場準備に入る前に、1年かけて株式の上場要否を検討し、さらに1年かけて上場の意思決定を行いますのでこれらも含めて説明します。

1.株式の上場要否検討(1年間)
 ①上場の要否判断    ※迷ったときは是非ACSにご相談ください。

  1)上場の目的の明確化
     ・株式上場後はIR(投資家向け広報)、情報開示(東証と金融庁)、J-SOX(内部統制報告制度)、コーポレートガバナンス

   コード(企業統治の指針)、インサイダー取引規制等への対応が義務づけられ、株主総会も上場企業に相応しい運営が求められ

   る。これらに対応するコストは人件費を含めて軽く年間1億円は超えるので、これを上回る定量的なメリット(株式市場での資

   金調達による調達コストの削減や株式市場を活用したM&Aによるシナジー効果等) が見込めるかを検討
       ・株式上場がリクルートで有利であるとか社員にメリ ットがあるというのはもはや昔の話(上場企業に希少価値はない) 

      2)IPOの戦略としての妥当性

       ・株式市場からの資金調達や株式市場を活用したM&A等が当社にとって不可欠な戦略なのかを検討(今はメインバンクがMBO

  〔経営陣が参加する買収〕を薦める時代)
     3)ステークホルダーへの説明責任
       ・顧客、社員、株主のそれぞれにとって上場はどのようなメリットがあるかを具体的に説明できるようにする      

  ②関係機関(証券会社、監査法人、株式事務代行機関等)をどこにお願いするかを検討
      1)証券会社は主幹事証券として上場準備作業全般の指導・助言、引受審査と上場審査に対する助言、上場時の公募・売り出し株式

            の引受を行う 
                        〈証券会社の選定のポイント〉
                         担当者の熱意と経験度合い、上場タイミングの遵守、自社の業界の取扱実績が豊富、優秀なアナリストが多い等 
   2)監査法人は、予備審査(ショートレビュー)での企業診断と「経営管理全般に関する事項」と「会計に関する事項」を指導。
     さらに上場のための監査と上場後の監査を行う 
                         〈監査法人の選定のポイント〉
                             経験と実績が豊富、上場の課題解決ノウハウを保有、上場準備プロジェクトメンバーと相性が良い等 
      3)株式事務代行機関は株式を発行する会社から委託されて株式事務を代行する機関のことで、信託銀行3社と代行専業会社3社の計6
     社から選定。上場規則でその設置が義務づけられており、株式事務の代行の他、株式実務のコンサルや株主総会運営サポートを
        行う
                   〈株式事務代行機関の選定のポイント〉
                             株式事務委託前後のサポート力と上場後の株主総会運営等のサポート力等
 
2.株式上場の意思決定(1年間)
 ①上場に向けた経営方針の策定
     1)経営ビジョンと中期経営計画(対象期間3年間)の策定  ※「ACS便りNo.9」を参照
   2)上場審査に必要な社内体制強化を反映した経営体制の構築
     ・監査法人の予備審査(ショートレビュー)を受け、株式上場に向けた課題とその解決に向けた方向性や大まかな日程を把握
     ・これを受けてアクションプランを作成し、これらに対応できる社内体制(特に本社の財務・経理、総務、経営企画等の機能強化)
    を構築 
   3)上場目標時期と上場目標市場の決定
     ・最終目標である東証1部上場の時期を明確にし、そこから逆算してIPOの日程を設定。業績が伸びている勢いで東証1部上場を狙
    うことが必要(IPOから2~3年で東証1部上場が目標)
     ・上場審査に有利になるように、業績見込精度が 高い時期を対象にした審査の申請を行う

 ②株式上場までの資本政策の立案
     1)資本政策に反映すべき要素
        ・株式上場の形式基準の充足と合理的な株価形成、安定株主の確保、成長資金の調達、オーナーの資産形成と承継、役員・従業員の
     福利厚生 
  2)資本政策立案のポイント
     ・実現性の高い利益計画
               資本政策のベースになるので実現性の高い、 確実な利益計画が必要
       ・適正な発行済株式数の設定
                上場形式基準の時価総額を予想公開価格(予想EPS×予想PER)で割れば発行済株式数が算出できる
        ・経営陣のシェア
               上場時の持株比率は最低1/3超、可能であれば過半数
        ・事業承継対策
               後継者がいる場合はその持株比率を高くする
        ・社外安定株主対策
               安定株主となりうる会社の見極め。経営陣と合わせたシェア合計は最低で過半数、可能であれば2/3以上
     ・投下資金の回収
               会社に投入したオーナー個人の資金は上場時の売り出しで回収。確実に回収するため予想公開価格は堅めに見積もる

    ③特別利害関係者との取引整備方針の策定
      1)特別利害関係者とは:
             役員と役員の配偶者・二親等内の血族、役員等が実質的に株式の過半数を所有している会社、申請会社の関係会社とその役員、
             大株主上位10名等 
     2)申請会社と特別利害関係者の取引は合理性を欠く、上場企業にふさわしくない取引なので基本的には申請前に解消

    ④関係会社整備方針の策定
  ・関係会社の存在や取引に合理性がない場合は整理

     ⑤上場準備と関係機関(証券会社、監査法人、株式事務代行機関等)選定の取締役会決議
 
3.株式の上場準備(3年間)
  ①実務段階(1年目)
  1)上場準備プロジェクトチームの発足と活動開始
        ・上場準備作業全体の統括管理と上場準備の実務作業(上場に関係する社内文書やデータの整理。上場申請書類作成と上場審査
     対応)を行うプロジェクトを発足して準備に着手
        ・プロジェクトは社長を推進責任者とし、各部門から選出したメンバーと事務局で構成
        ・プロジェクトが成功するか否かは、事務局長のマネジメント能力にかかっているのでその人選は慎重に行う
        ・事務局長と事務局員の最低2名は専任体制にすべき
      ・事務局の作業は、上場審査の形式基準のチェック、上場審査に必要なデータ(社内規程集等)の有無の確認ととるべきアクショ
     ンの把握、上場準備のアクションプランの作成と進捗管理 
 2)上場準備1年目の資本政策の実施
    ・新株予約権発行、第三者割当増資、株式移動、従業員持株会発足等 
 3)特別利害関係者との取引解消完了 
 4)関係会社の整備(完全子会社化、子会社合併、事業譲渡等)完了 
 5)経営管理体制の構築完了と株式上場後の体制準備

  ②申請直前年度(2年間)
    1)上場準備プロジェクトチームの活動 
     ・上場申請書類作成
    2)上場準備2年目の資本政策の実施
       ・新株予約権行使、株式分割、単位株制度の採用
    3)経営管理体制の運用と株式上場後の体制試行

  ③上場申請年度(3年目)
    1)上場準備プロジェクトチームの活動 
     ・上場審査対応 
    2)上場準備3年目の資本政策の実施
        ・株式上場入札、公募増資、売り出し(経営者、役員・社員が株式を売り出して操業者利得を獲得) 
    3)経営管理体制の運用と株式上場後の体制運用
 
 


  (注)【ビジネス豆知識】は今回もお休みします。
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                                                                                   以 上
 

 

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