2017年4月1日
企業の成長過程における経営課題4:中期経営計画の策定・推進~ACS便りNo.9
〈横浜 山下公園のしだれ桜〉※前回の菜の花畑の画像は〈横浜 追分(おいわけ)市民の森〉
大変お世話になっております。
株式会社ACSの淡路です。
『ACS便りNo.9(2017/4/1)』を送付します。
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前号のACS便りで取り上げた、『予算管理制度』を構築して年度業績管理ができるようになった会社は、次のステップとして、中期(ここでは3年)の事業運営に取り組むことになります。なぜなら、年度の経営計画や予算だけでは会社の将来の方向性を定めるのは難しく、成行き経営に陥る危険があるからです。
企業が成長し、存続し続けるには、3年後に自社がこうありたいという『経営ビジョン』を明確にし、それを実現するための『戦略』を策定します。そしてそれらを落とし込んだ『中期経営計画』を策定・推進するという活動を繰り返し行っていく必要があります。
今回は、企業の成長過程における経営課題への対応として、『中期経営計画の策定・推進』を取り上げます。
1.経営ビジョンとは?
『経営ビジョン』とは、企業が存続する限り変わらない『経営理念』を受け、中期的に会社がこうありたいという姿を示したもので
す。それは、その会社ならではの価値ある独自性を追求したものであり、会社のステークホルダーに対するスタンスを表したもの
であり、社員の行動指針になるものでもあります。
2.戦略とは?
①意味と種類
『戦略』とは、『経営ビジョン』を実現するための手段・ 施策のことで、経営戦略(基本戦
リソース戦略等があります
②経営戦略(基本戦略) ※以下の記載で 【 】 は2016年度の事例です。
■意 味
・経営ビジョンをグループ全体や会社全体で実現するための手段・施策
■具体例
・選択と集中
【日立製作所はイ
・ターンアラウンド(企業再生)
【富士フィルムが写真フィルム事業から撤退し医
・企業統合 【JXHDと東燃ゼネラル石油の統合】
・新規事業への参入
【ソフトバンクが英半導
・既存事業の撤退
【三菱ケミカ
東芝が米国原子力事業から撤退】
・グループ再編
【トヨタがダイハツを、三菱商事がローソンを、 新日鉄住金が日新製鋼をそれぞれ子会社化。
ソニーが全事業を分社化。第一生命が純粋持株会社化】
・MBO(経営陣が参加する買収)
【アデランス、TASAKI】
・IPO(新規上場)
【JR九州が東証1部に直接上場】
③事業戦略
■意 味
・それぞれの事業が経営ビジョン実現するための手段・ 施策
■具体例
・ブルーオーシャン
【ヤマハ発動機の大型スクーター「マジェスタ」の開発。QBハウスのビジネスモデル】
・レッドオーシャン(コストリーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略)
・既存事業の構造改革
【三越伊勢丹の構造改革。パナソニックがデジカメなど6事業を再リストラ】
・自力でのビジネスモデルの変革
【ニトリが百貨店に出店。LIXILがリフォーム費を見える化。セブン&アイがPBを刷新。
YKKがアジアで低価格品強化。しまむらが衣料 の商品数絞り込み、ビール4社が多品種戦略を転換】
・同業とのアライアンスによるビジネスモデルの変革
【ホンダとヤマハ発動機が国内二輪車事業で提携~協業と競争の棲み分け。トヨタとスズキが環境・
安全・情報技術、自動運転車開発等で協力するために提携】
・
設立。住友電工が独シーメンスと電力インフラ事業で提携】
④機能戦略
■意 味
・企画・開発、営業、調達、生産、物流等の組織機能が経営ビジョンを実現するための手段・施策
■具体例
・営業機能強化
【
・生産機能強化
【日産
⑤リソース戦略
■意 味
・経営リソース(ヒト、モノ、カネ、情報、時間)が経営ビジョンを実現するための手段・施策
■具体例
・ヒト 【デンソーがIT人材確保のため富士通テンを子会社化】
・カネ 【ソフトバンクがサウジアラビアと投資ファンド設立】
3.中期経営計画とは?
①中期経営計画の構成
経営ビジョン、戦略、年度別定量目標・定性目標、概略日程、フォローアップ方法等
②中期経営計画で当初設定した各年度の
・中期経営計画の初年度は経営目標値と予算値が同じ
・2・3年目の経営目標値は前年度の予算の達成状況や事業環境等を踏まえて
になり、
額要請して交渉し、社内予算が確定
・上場企業では、確定した社内予算より保守的にみた数値を業績予想値として公表するのが一般的
③中期経営計画のPDCA
・定量目標:各年度の予算管理制
・定性目標:年度経営計画の進捗フォローを会議で行うか報告書で報告させる
④中期経営計画の見直し
・正当な理由があれば3年間の期間を1年延長することは可能(筆者は前
・想定した事業環境が激変した場合(例えばリーマンショックや東日本大震災)は中期経営計画を作り直すことが必要
4.中期経営計画の留意点は?
①経営ビジョンでは、会社経営における顧客、社員、株主・ 投資家、ビジネスパートナー、社会等のステークホルダー の位置
づけを明 確にし、特に社員と顧客と株主の満足度を 高めるためにはバランスの良い利益配分が重要。
最近の動きとして、社員では『働き方改革』、ビジネス パートナーでは『取引条件の改善』に関する会社としての 基本的な
考え方も盛り込むべき
②中期経営計画の策定では、その内容がビジ
③中期経営計画の達成では、社員の束ねを強く意識した経営の実践が 不可欠。中期経営計画や予算で掲げる数値目標と施策
が、活動の主体である社員にとってわかりやすく、実現可能性があると思えるものになっているかがポイント
(注)【ビジネス豆知識】はお休みします。
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