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2017年3月15日

企業の成長過程における経営課題3:予算管理制度の構築~ACS便りNo.8

 

 大変お世話になっております。
株式会社ACSの淡路です。
『ACS便りNo.8(2017/3/15)』を送付します。

 

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企業の成長過程における経営課題への対応として、今回は『予算管理制度の構築』というテーマでその留意点についてお知らせします。

上場企業は東京証券取引所から業績予想修正の開示が要求されることもあって、社内の予算管理制度では3か月先までの業績予測を精度よく行って対策を取ることが重要になりますが、この話は別の機会に譲ることとして、今回は、予算の 実績見込管理ではなく、実績管理について取り上げます。 

  1.予算管理制度とは?
     『予算管理制度』とは、企業の年度業績目標を達成するための全社的な仕組みのことです。 

 
  2.予算管理制度と管理会計制度等の関係は?
       ①管理会計制度との関係
       『管理会計制度』は、前回のACS便りNo.7に記載したとおり、会社の意思決定、業績評価、コスト管理等の経営マネジメントを
   行うために自由に制度設定できる会計のことですが、それを具体的に活用して年度業績の目標達成を図る仕組みが『予算管理制
   度』です。

    ②中期経営計画との関係
      3年~5年の中期レンジで掲げる『経営ビジョン(会社のあるべき姿)』を達成するための戦略を落とし込んだ計画を『中期経営
           計画』と言いますが、それを年度毎に具体化した実行計画が『年度経営計画』です。さらにその年度数値目標を達成するための仕
     組みが『予算管理制度』です。

  3.予算管理制度のプロセス別のポイントは?
       予算管理制度は、『予算策定プロセス』、『予算周知プロセス』、『予算管理プロセス』の3つに分かれており、それぞれの留意
   点は以下のとおりです。

  ①予算策定プロセス
        1)内 容
               ◎事務局が、次年度の事業環境、中期経営計画で定めた年度目標、経営トップの意向等を踏まえ、『年度予算ガイドライン(以
                   下「GL」)』を作成して社内各部門に提示
           ◎社内各部門は、今年度の業績見込と次年度の市場・顧客動向等をもとに『積み上げ予算』を作成
               ◎事務局は、各部門の『積み上げ予算』をチェックして合算し、GLの全社目標値に届いているか確認。不足している場合は各
                   分門に増額要請をし、調整を行って予算案を確定
               ◎予算案と年度経営計画を取締役会に諮り正式に決定
        2)留意点
              ◎事務局がGLを作成するため社内各部門に事前ヒアリングを行うのは、現場の『予算押し付けられ感の緩和』に若干効果は
          る。しかし、現場から出てくるのは保守的な話が多い
            ◎『積み上げ予算』の合算が年度のGLの全社目標値に不足するのが常で、事務局が増額要請をしても調整がつかないケースが
                   多い(特に人事評価制度でライン長の予算達成を極度に重視している場合)

                    ⇒  事務局としてGLの設定根拠に説得力を持たせることが特に重要。
                        場合によっては、人事評価制度の見直しも必要(例えば、何年も連続して予算達成した部門のライン長は人事評価で加点評
                        価する等)。
                        さらに、予算の調整は必要であるが、時間的な制約もあることから、最後は上意下達という予算の基本ルールをよく認識さ
        せることも必要

  ②予算周知プロセス
          1)内 容
              ◎年度キックオフ
                  前年度末か今年度初めに『年度経営計画・予算の発表会』を開催し、経営トップ自らが社員に向けて前年度業績を総括し、今
                  年度の経営計画・予算の考え方を説明。社内各部門長は、部門予算を達成するための施策を発表
             ◎下期キックオフ
                  下期開始にあたり、経営トップが上期業績を総括して下期の取り組み方針を説明する場を部門毎に設定。部門長が下期の取り
                  組み施策を説明 
        2)留意点
             ◎年度キックオフの発表会は社内の会議室ではなく、ホテルや貸し会議室等のしかるべき場所で開催して重みづけをする
             ◎発表会で前年度の社内表彰等を実施すると効果的
             ◎管理職は常に現場で予算達成に真摯に向き合っているスタンスを見せ、日常的に部門予算を話題にして社員に浸透させる。個人
                 にブレイクダウンされた予算が達成できたかどうかが人事評価のポイントであることを部下によく認識させる

 ③予算管理プロセス
     1)内 容
            ◎年度予算達成に向けて、PDCAのサイクルを最低でも1か月周期で回す
            ◎予算の進捗状況をチェックのため『予算フォロー会議』 は毎月1回、極力早いタイミングで開催。
               この会議の目的は、前月の実績を把握して予算未達の原因を究明、翌月から3か月先までの方針の明確化、経営トップの方針伝達
               と部門の活動方針の統一化、重要事項の情報共有化等
     2)留意点
           ◎『予算フォロー会議』の位置づけを明確化
                   ・この会議は単なる業績報告の場ではなく、予算未達状況から脱するために知恵出しを全社的に行う会議であることを経営
             トップが宣言する
                ・精度の良い予測は難しいが、3か月先の業績を見通して予算不足を穴埋めする取り組み(リカ バリ-)を計画して実行させ
                     ることが必要
       ◎『予算フォロー会議』の運営を工夫
                   ・会議報告者の座る順番を業績の良い順にする、報告対象部門を予算未達部門に絞る、報告内容 を予算未達のリカバリー計画
                       の内容と進捗に絞る等
 
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【ビジネス豆知識】  
 ◎ここに注目!!    ※このテーマは随時掲載します。 
  1.宅配便クライシス(日経新聞2017年3月2日、3月4日他
   宅配便ビジネスを開発し、業界トップシェアを誇るヤマト運輸労働組合が、今年の春季労使交渉で宅配便の引受総量の抑制を会社
   側に求め、会社側も同じ認識で事業の在り方の見直し(再配達の削減と有料化、昼指定の廃止、宅配ロッカー活用等)を始めた。
      インターネット通販の拡大と運転手不足がその背景。
          ☞日本のきめ細かい、おもてなし的なサービスをタダと捉える消費者の意識を有料化へ切り替えられるか。
                これが日本流サービス業の生産性向上の試金石になるため、ここに注目!!

  2.三越伊勢丹HDの社長が後任社長未定のまま辞任(日経新聞2017年3月6日、3月11日他)
   「ミスター百貨店」の異名を持つ社長の改革に労組が反旗を翻し、会長が社長に辞任を迫って社長交代。
       想定以上の消費の激変(従来三越伊勢丹が行ってきた、ショーウインドーに他社が夏物を展示する中、秋冬物の商品を飾って 9月 
   に富裕層・婦人客が買い求めるように促した「先買い」⇒ネット通販の登場により、ほしいものをその都度買う「旬買い」に消費
   のトレンドが変化)に翻弄され、仕入れの構造改革等を推進したが、従来のやり方に拘る社内外の抵抗に遭い、新しいビジネスモ
   デルが構築できなかった。
           ☞常にアンテナを張り巡らせ、顧客やマーケットの変化の内容とそのスピード感をタイムリーに掴んで対策することの重要性
                 を再認識したため、ここに注目!!
 
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                                                                                     以 上

 

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