2017年2月15日
企業の成長過程における経営課題1:人事評価制度の構築~ACS便りNo.6
大変お世話になっております。株式会社ACSの淡路です。
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今回からシリーズで、企業の成長過程における経営課題への対応について留意点を記載します。
今回のテーマは『人事評価制度の構築』です。
1.企業の生存率と会社の寿命30年説
1年で40%、5年で15%、10年で6%、20年で0.4%、30年で0.02%・・・。これは企業生存率、つまり企業が
何年後にどれだけ生き残っているかを表した数字で国税庁がまとめたものです。
わずか1年で立ち上げたばかりなのに40%の企業しか生存していません。5年もたつと85%の企業が倒産し、10
年を超えるとほとんど無に等しくなります。
また、昭和59年に日本経済新聞社から発行された『会社の寿命30年説』では、大企業の事例調査により、企業
の寿命30年説の正しさの実証的な研究が行われています。企業には必ず寿命があり、それを延ばす唯一の方法
は「変身」で、これに対する経営トップのリーダーシップの重要性が述べられています。
2.企業の成長過程
このように起業して成功することは極めて難しいのですが、そのような中で成長を続けて成功する企業は概ね
以下のような成長のプロセスを踏んでいきます。
※太字の箇所はメルマガで取り上げる予定のテーマです。
(2)売上である『入』と支出である『出』の差額を『利益(キャッシュ)』と捉える、いわゆる『どんぶ
り勘定』で事業を運営する。
その結果、資金繰りで問題が発生したり、どのビジネス・製品で儲かっているかがわからず次の手が
打てなくなる。
(3)そこで、管理会計や年度の業績管理・予算管理制度を導入し、資金計画も立て、1年単位では事業運
営が上手くできるようになる。
しかし、大口顧客との取引停止等で単一事業のリスクを実感し、ビジネスモデルの変革が急務にな
る。
(4)事業のさらなる成長には、設備投資・事業投資を3~5年という中期的なレンジで行うことが必要にな
る。さらに、経営改革を行うには単年度の事業運営では不可能なことを意識するようになり、経営ビ
ジョンや中期経営計画という中期の事業運営が必要になる。
(5)事業の拡大に伴って社員数が増加し、組織・体制や人事評価制度をどうするかが切実な問題になる。
特に利益を生み出さない本社業務のコストをどう抑えて成果を上げるか、組織規模の拡大に伴い、
社内の様々な仕組みをどうするか等の課題に直面する。
(6)経営者は自分や一緒に苦労してきた役員・社員の創業者利得の獲得、株式市場からの資金調達等を目
的にして、IPO(新規株式上場)をめざし、3年程度の上場準備で先ず東証1部以外の株式市場に上
場する。そこから2~3年かけて東証1部に上場する。
(7)非上場の道を選んだ経営者は、後継者不足等を理由に、M&Aによる会社売却を検討する。
3.人事評価制度の構築
(1)ニーズ
非上場企業様においては人事評価制度構築のニーズが極めて強く、具体的な内容は次のとおりです。
・社長や一部の役員で社員全員を評価することは物理的に不可能
・明確な評価基準がなく、鉛筆を舐めて人事評価を行っている。特に本社スタッフ部門の評価基準
の設定が難しい
・人事制度が整っていることを社員や求職者
・人事評価の目的が給与・賞与の額決定だけ
には役立っているが、社
・社員の大半が納得できる、公平な評価制度になっていない
・評価制度の目標と企業理念、経営方針、経営計画がリンクしていない
・年功的な給与なので、頑張って成果を上げても収入格差があまりなく、やってもやらなくても同じ
(2)留意点
①人事評価制度の三つの目的の正確な理解
(A)経営方針・経営計画が社員に期待する成果を明確にし、それを評価することで実現を促すため
の制度
※経営計画や予算
や「予算管理制度」の存在は大前提になる
(B)成果を上げた社員を高く
めの制度
(C)評価の低い社員に対して能力開発すべき課題は
②制度設計のポイントは、「人事ポリシー
・「人事ポリシー」とは、どんな社員がほしいのか、社員に何を求めるのか、どうやって社員に報い
るのか、年齢に応じた給与にするのかそれとも成果に応じた給与にするのか、社員に働いてほし
い期間はどれくらいか、評価の軸となるポイントは何か等について
③人事評価制度では設計と運用の重要度は2:8であり、どのような人事評価制度でも不満が出るのは
当たり前。それに屈せず最後までやり遂げるという覚悟を持って制度の導入に踏み切ることが重要
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【ビジネス豆知識】
◎上場企業の2017年3月期の業績予想
(日本経済新聞2017年2/9)
・5社に1社が純利益で最高益
・業績を伸ばしている会社の傾向
①働き方改革
(事務を効率化するITの活用ニーズ⇒野村総合研究所の業務効率化システム増、中小企業の正確な労
働時間把握⇒アマノの就業管理ソフト増、正社員の残業時間削減⇒テンプHDの技術者・事務の人材
派遣増)
②コト消費の拡大(JR東海、ANAHD、オリエンタルランド)
③健康志向(森永製菓、カルビー、セントラルスポーツ)
(日本経済新聞2017年2/10)
・稼ぐ力上昇中。売上高当期純利益率初の4%超
・利益率が改善する主な企業の傾向
①製品やサービスの高機能シフト(日本電産、森永製菓、グンゼ)
②ネットやIoTと
(スタートトゥディは通販
東京エレクトロン)
③日銀の金融緩和効果が追い風(三菱地所、東急不動産HD)
④前期までの合理化効果の創出 (日東紡、日立製作所)