2017年1月15日
労働生産性の向上と働き方改革について(1)~ACS便りNo.4
大変お世話になっております。株式会社ACSの淡路です。
『ACS便りNo.4(2017/1/15)』を送付します。
今回から【ビジネス豆知識】のコーナーを設け、最新のビジネス用語の解説や知っておくと便利なビジネスのデータを掲載しますのでよろしくお願いいたします。
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『労働生産性の向上と働き方改革』について2回にわたって所感を書きたいと思います。
1.日本の労働生産性を欧米諸国と比較したデータによると、日本のサービス業の労働生産性は極めて低く、その結果、産業全体の生産性の足を引っ張っているという事実に改めて驚かされます。日本経済の成長に不可欠な、「労働生産性の向上」という課題に正面から取り組んでこなかったのはなぜなのでしょうか?
■経済協力開発機構(OECD)加盟34か国中日本の就業1時間当たりの労働生産性は21位(上位10か国
のうち9か国は欧州勢。米国は6位)で、1990年代から20位前後で大きく変わらない状況が続いている。
(日本生産性本部)
■1時間当たりの労働生産性は、米国を100とするとドイツ、フランスが90台、英国が70台で日本は63。
■日本のサービス産業の労働生産性は米国の5割にとどまり、卸売・小売が38.4%、飲食・宿泊業が34%
で特に低水準 (要因はITの導入遅れ)。
製造業は69.7%で、化学は134.2%、機械が109.6%
これについては、生産性が高いと言われる製造業で勤務した経験がある私にも個人的に思い当たる節があります。具体的には、
■「人が仕事を通じて成長するのは生産性があがること」という認識で個人や部門を評価してきたか?
■「労働生産性=労働によって生み出された付加価値/投入された労働力」と定義づけ、それを測定する
指標を決めて人事評価・部門評価を行ってきたか?
■個人や部門を量の目標値だけで評価し、前年度と比較した生産性の変化を評価してきたか?
というと答えはいずれもノーになります。
日本の高度経済成長は、労働力の徹底した投入つまり長時間労働により付加価値の絶対額を増加して経済成長を実現したものであり、それは正しい選択であったと思います。しかし、その後の経済の低成長期に入ってもこのパラダイムが転換できなかったことが、「労働生産性の向上」という課題に正面から取り組んでこなかった理由ではないかと考えています。
2.一方、パーソル総合研究所代表取締役社長の渋谷和久氏によれば、少子高齢化の影響は団塊の世代が全て75歳を超える2025年(今からわずか8年後!)でピークに達し、現在の経済成長率を維持するためには583万人の人手不足に直面するため以下の対策をとるべきとのことです。
■働く女性を350万人増やす〔女性活躍先進国のスウェーデン並み〕
■働くシニアを167万人増やす〔70.歳まで働く人を増やす〕
■日本で働く外国人を34万人増やす
■I o T、AI等で労働生産性を現在の0.9%から1.2%まで
(日経新聞2016年12月21日、「働く未来フォーラム」)
なぜ政府がこのような未来の労働市場の青写真を示さないのか甚だ疑問ですが、女性・シニア・外国人がこの人数レベルまで労働市場に参加することはかなりハードルが高いため、「労働生産性の向上」は、労働市場の人手不足対策として避けて通ることはできない重要な施策になります。このような文脈で労働生産性の問題を捉え、それが働き方改革とどう関わるのかを次号では考えたいと思います。
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【ビジネス豆知識】
◎政府がいう『働き方改革』の9つの課題
①同一労働同一賃金
非正規社員の処遇改善
②転職・再就職支援
労働市場の流動化、成長分野への人材の移動促進
③労働条件の上限設定(「36協定」見直しも)
生産性向上
④下請け企業の取引条件の改善
下請け企業の業績向上
⑤24時間営業などの在り方
社員・非正規社員の処遇改善
⑥テレワークや副業・兼業
生産性向上、多様な働き方を認め女性等の就業機会増加により人手不足解消
⑦社会保障制度・税制などの再検討(配偶者控除の見直しも)
女性の就業機会増加により人手不足解消
⑧継続雇用や定年年齢の引き上げ
シニアの就業機会増加により人手不足解消
⑨外国人材の労働者としての受け入れ
外国人の就業機会増加により人手不足解消
※その他今話題なのは、脱時間給制度(労働生産性向上)、インターバル制(社員・非正規社員の処遇改善、生産性向上)