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2018年5月1日

『管理職になるまでには身につけておきたいマネジメントスキル

について~ACS便りNo.27

 

〈横須賀 長井海の手公園ソレイユの丘〉 

 

いつも大変お世話になっております。株式会社ACSの淡路です。
『ACS便りNo.27(2018/5/1)』を送付します。

 

今回は、私がサラリーマン時代に活用したり、経営コンサルタントとして指導したマネジメントスキルのうち、管理職になるまでに誰もが身につけていただきたいと思うものについて、活用の場面や使用上の注意を紹介します。

(どれも有名な手法ですが、きちんと使われていないケースが多くて残念です。QCストーリーはどのような業種でも職種でも使えるのに、製造現場でしか使えないという誤解も多いです。)

また、私たちを取り巻く社会にはたくさんのムダがありますが、それをあたりまえのものとして受け入れるのではなく、「新規事業のネタにならないか?」という切り口で認識する必要性についても記載します。

□ □ □ □

1.身につけておきたいマネジメントスキル

 ①業務目的の明確化

  ◎目的志向

   ・業務の目的は何かを常に明確にし、その目的に照らして目標、計画、施策の内容が

    妥当かをチェック

  ◎目的と手段の位置づけの明確化

   ・いつのまにか手段が目的になっているケースが多いので要注意

    会社は、(1)成長投資を行う(2)株主・社員等のステークホルダーへの適正な

    還元を行うというふたつの目的を実現するための手段として利益を上げるのであって、

    利益を上げること自体は目的ではない

 ②身の回りの問題解決・課題達成(改善レベル)

  ◎QCストーリー

   「現状把握で問題点を明確化⇒問題点の発生要因を解析して真の要因を抽出⇒対策の

    検討・実施⇒効果の確認⇒標準化」というQCストーリーの各ステップをきちんと

    踏めば改善レベルの問題解決は必ずできる

      ※QCストーリーは後記のPDCAサイクルを回すことでもある

      ※改革レベルの問題解決、課題達成には下記の「戦略策定プロセス」が効果的。

      QCストーリーでできるのは現状レベルの改善なので対応できない

  ◎QC7つ道具

   ・QC7つ道具、新QC7つ道具でよく使うものは、層別、パレート図、特性要因図、

    グラフ、チェックシート、散布図、マトリックス図法

      ※用語の説明

        ■層別   :データを特徴別に2つ以上のグループに分けること。真の問題は何かを

                 つかむのに効果的

        ■パレート図:問題の要因を多い順に並べることで、取り除くべき重要な要因は何かを

                 見つけ出すのに有効

        ■特性要因図:問題の要因の洗い出して、それらを分類し、矢印で関連づけて図表に

                 表したもの。通称「魚の骨」と呼ばれ、真の要因を見つけ出すのに効果的

        ■グラフ  :データを図表化し、データの全容や傾向をひと目でわかるようにしたもの。

                 棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、レーダーチャート等がある             

        ■チェックシート:データを整理して記録しやすいように、必要な項目や枠を設けた記録用紙

                   のこと。チェックマークで記録する

        ■散布図    :対応する2つのデータを、縦軸と横軸に原因系統と結果系統を取ったグラフ

                   用紙に打点して作られた図で、データ相互の関係を表したもの

        ■マトリックス図法:2つの要素を行と列の二次元に配置し、その交点に着眼して問題解決の

                  糸口を見つける図法     

   ・特性要因図での要因の掘り下げは、自責(自分に責任がある、⇔他責)の要因で検討

    すると的を得たものになる

 ③戦略や中期経営計画の策定(改革レベル)

  ◎戦略策定プロセス

   会社・グループや部門の「あるべき姿(将来このような会社・グループ・部門にしたい

    というビジョン)」を明確 にし、次にその「現状」を分析して、「あるべき姿」と

    「現状」のギャップを把握。それを中期的に(3~5年)埋める施策(これが戦略)を

    策定する手法

    ・会社の問題解決・課題達成は、上記の「QCストーリー」か「戦略策定プロセス」の

    いずれかで必ず対応できる

 予算管理、経営管理等    

  ◎PDCA(Plan~Do~Check~Action)サイクル

    ・最近、脚光を浴びているPDCAサイクルだが、私が社会人になった40年ほど前にも

     管理といえばPDCAサイクルと言われ、品質管理教育の定番だった

    ・私の経験でいうと、予算未達が続いている業績の悪い会社は、最も重要と言われる

     CAの特にA(アクション)が弱い

    ・PDCAをより短いサイクル(サイクルの時間単位の短縮、年度⇒四半期⇒月⇒旬⇒週

     ⇒日)で、 より的確(Cの分析とAのアクションの内容が的を得ている)に回すことが

     重要

     ・この手法は「管理」と名のつく業務全てに活用できる(部門管理、人事管理、事業

     投資管理、生産管理、購買管理等)

  ◎リカバリープラン

    ・予算の未達が見込まれる場合リカバリープランを作成することになるが、そのポイント

     は、リカバリーをどの期間(翌月、三か月後、半年後、年度末まで)で行うのかを明確

     にし、リカバリープラン策定後の進捗チェックはオリジナルプランとリカバリープラン

     のそれぞれについて行うこと(リカバリーで効果が出ていてもオリジナルが未達全体

    では予算未達というケースがよくある)

    ・予算管理では、PDCAのAとしてリカバリープランの作成・実施を行うケースが多い

 新商品、新サービスの企画・開発

  ◎ビジネスモデルの転換

    ビジネスモデルとは

     (1)誰(どのような顧客・市場)に対して

     (2)何(どのような製品、サービス)を

     (3)どのように作り(生産方法、購買や物流を含む)

     (4)どのように売るか(販売方法)

     をあらわすもの

    ・企業は、ビジネス環境の変化に対応するため常にビジネスモデルの(1)~(4)の

     いずれかを見直している=ビジネスモデルの修正

    ・そのビジネスが市場で受け入れられなくなると、ビジネスモデルの(1)~(4)の

     全てを変えることになる=ビジネスモデルの転換=新規ビジネス

    ・従来のビジネスモデルが通用しなくなる前に、ビジネスモデルを転換することが

     成長には欠かせないが、それができずに業績不振に陥る会社が多い     

  ◎仮説と検証

    ・新製品開発等で、ふたつの事実には「正の相関(2つの変数のうち一方が増加すると

     他方も増加する関係)」か「負の相関(2つの変数のうち一方が増加すると他方は減少

    する関係)」があるのかを確認するため、ある仮説を立ててそれをデータ等で検証する

     手法。QC7つ道具の散布図で表す

    ・コンビニが試作品(仮説)を地域販売した結果で検証して、全国販売に踏み切るの

     この手法  

 ⑥品質の向上

  ◎QCD
   ・顧客が、製品やサービスを提供する会社に求めるものは、Q(Quality)の品質、

    C(Cost)のコスト、D(Delivery)の納期。顧客満足度はこの3要素の全てを

     満たすことで向上
   ・昨今の製造業の品質不正は、DやCを優先してQを軽視した結果生じたもの  

  ◎工程内(自職場内)の品質の作り込み

    ・さまざまな部署が関わる業務の品質を向上させるには、「前工程から不良品(品質の

     悪いアウトプット)を受け取らない、自工程で不良品を作らない、後工程に不良品を

     送らない」という考え方をその業務フローに関わる全部署で徹底することが必要  

      ※この手法も製造業だけではなく、全ての業種の会社、全ての職種で活用可能

 ⑦職場のムダ排除

  ◎5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)

    ・最も重要なのは決められたことをきちんと守るという「躾」。

     決められたこと(業務上のルール)を守らない、つまり「躾」の悪い会社は品質も

     業績も悪い

      ※この手法も全ての業種の会社、全ての職種で使用できる

      ※用語の説明
        ■整理:要るものと要らないものを区別し、要らないものはその場から撤去
            =モノ・業務のムダを発見し、ムダを除去する段階
        ■整頓:必要なものを必要な時にすぐに取り出せるように順序良く保管する仕組みを作る
            =効率よく仕事ができる仕組みづくりの段階
        ■清掃:汚れのないきれいな状態に戻し、汚れなどの異常を見つけやすくすること
            =職場環境を整備し、異常がわかる段階
        ■清潔:整理・整頓・清掃した状態を維持し、さらにステップアップを図ること
            =改善サイクルを回してステップアップを図る
        ■躾 :決められたことを決められたとおりに行えるように習慣づける教育・指導をすること

            =教育・訓練の段階   

  ◎標準化(作業標準書、見本、マニュアル)

    ・改善しただけでは時間が経つと問題は必ず再発する。

     改善の内容を作業標準書やマニュアルにして社員教育まで行うことが肝要

 ⑧本社部門、スタッフ部門の生産性向上

  ◎個人・部門毎の「業務時間分析」

    ・業務内容を企画検討、資料作成、会議、移動、出張等に分類し、個人毎に毎日、

     業務時間を記録してそれを部門で集計。さらに社員が行うべきコア業務と

     ノンコア業務に区分し、時間が掛かっているノンコア業務の効率化を重点的に実施。

    さらにノンコア業務のアウトソーシングも検討

  ◎業務毎の「業務プロセス分析」

    ・業務毎に業務プロセスを作成して個々のプロセスの必要性を検討し、不要なものや

     重複しているものは廃止

    ・規模の大きな会社では、複数の部門が同一業務を行っていることがよく見受けられる

     ので、業務プロセスを全社的にチェックすることも必要

 円滑なコミニュケーションによる情報の共有化

  ◎報連相(報告、連絡、相談)

    ・誰が誰に報告するかというレポートラインを明確にし、報連相の方法を検討

    (顔を合わせられない場合はモバイル機器による日報を活用等)   

 

2.新規事業のネタになる『社会のムダ』

 ・私たちを取り巻く社会の以下のような『社会のムダ』は、解消されれば莫大な生産性の

  向上等の効果が生まれるため、その中にはたくさんのビジネスチャンスが眠っています

  すでに事業化されているものもありますが、このような目で『社会のムダ』を眺めてみ

  ると、新しいビジネスのアイデアが浮かんできませんか?

 

  ◎現金決済のムダ(現金決済の運用費用は年間2兆円、キャッシュレス化でムダ解消)
  ◎金融機関が休日に営業しないため、窓口で相談するために休暇を取って対応するムダ
  ◎金融機関のサービスを受ける(口座開設等)のに必要な情報がわからずに出直すムダ
  ◎ケイタイの複雑で種類が多すぎる契約・サービス内容のムダ、ケイタイショップの

        待ち時間が長すぎるムダ 

  ◎不動産物件を借りる際の、関係する会社が多すぎて契約書の手続が煩雑になるムダ
  ◎無償の「おもてなし」や100円ショップで売られる、安すぎる「アイデア商品」で

     サービス業の生産性が低下しているムダ(付加価値に応じた値づけでムダ解消)
  ◎宅配便・運送業者に対する荷主からの無理な要求(ネット通販における小口物流)に

   対応するムダ
  ◎「お客様は神様」の意味を誤解している客からのクレーム対応のムダ
  ◎人材が活用されないムダ
   ・大学教育等で優秀な成績だった女性が企業で十分に生かされないムダ
   ・シニアが持っている貴重な経験やスキルが定年退職で活用されなくなるムダ

  ◎観光資源(特に地方)が活用できていないムダ  
  ◎異常に多い食品廃棄ロスのムダ(日本の年間の食品由来廃棄物等の発生量は推計

   2,801万トン、そのうち食品ロス〔本来はまだ食べられるのにもかかわらず捨てられる

   食品〕の量は642万トンで、この量は世界全体の食料援助量約320万トンの約2倍に相当)
  ◎大企業の「優越的地位の乱用」的な行動に振り回される中小企業のムダ

  ◎建設業界やSI業界の多重下請け構造のムダ
  ◎欧米に比べてIT活用分野が狭いムダ(農業分野、行政分野等)
  ◎通勤時間が長いムダ(テレワークで解消)    等  

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