新着情報 NEWS

2018年3月30日

『株式の新規上場後初めての株主総会の運営』に関するサポートサービスについて

~ACS便りNo.26

 

いつも大変お世話になっております。株式会社ACSの淡路です。
『ACS便りNo.26(2018/3/30)』を送付します。

 

今回は、東証マザーズ等に株式を新規上場(IPO)した会社が経験する、上場会社として初めての株主総会の

準備や運営に関する当社のサポートサービスを紹介させていただきます。

当社のサービスの特徴は、2回目からは自分達で株主総会(以下「総会」)が運営できるように、一緒に総会 

の準備・運営の支援をしながら、マニュアル作成を重点的に行うことです。

3月決算、6月総会の監査役会設置会社を例にとって説明します。長文になりますがご一読願います。

□ □ □ □

1.上場直後の総会準備

 1)総会の会場手配

  ① 出席株主数の予測に基づく会場の収容能力の検討

    ◎株式上場時の公募増資と売出し後の総株主数を把握し、総会の出席株主は総株主の2%~4%

     という経験則に照らして出席株主数を予測

    ◎総株主を200名とすると出席株主は僅か4名~8名になるが、安全を見て20名~30名程度の収容

       能力を確保

  開催日の設定

    ◎決算期後3か月以内の総会開催が法律で義務づけられているため、3月決算会社は6月中に総会を

      開催。実務的には6月の最終営業日の前日(予備日を1日設定)までに開催

    ◎具体的な日取りは、総会招集通知の早期発送に関する会社の方針をベースに、監査法人の監査

            日程(監査がGW前に終了するかしないか)、ディスクロ印刷会社の株主送付書類の印刷日程、

            信託銀行証券代行部の株主送付書類の発送日程(総会の2週間前発送が法定期限)考慮して

            設定。上記の関係者との事前擦り合わせが重要    

  ③会場の手配

    ◎総会の収容能力と開催日から会場を選定。社内の大会議室で対応するのがベスト。

     大会議室がなければ、アクセスの良い外部の会議室(ホテルや貸会議室等)を速やかに予約

    (上場企業においては、外部の総会会場は1年前に予約するのが常識なので要注意)

 2)株主構成の確認と議案の検討開始

  ①安定株主の議決権比率のチェック

    ◎株式上場時の公募増資と売出し後の安定株主(会社が提案した議案や総会の動議対応に賛成

    してくれる株主)の議決権比率が過半数(普通決議、役員選任決議に対応可能)、または

    2/3以上(特別決議まで対応可能)になっているか確認

     ※株主総会の議案の決議方法

      ■普 通 決 議    :剰余金の配当、取締役・監査役の報酬枠の改定等

                     定足数:なし 可決条件:出席株主の議決権の過半数の賛成

      ■役員選任議案:取締役・監査役・補欠監査役の選任等

                 定足数:総株主の議決権の1/3以上を有する株主の出席

                 可決条件:出席株主の議決権の過半数の賛成

       ■特 別 決 議  :定款一部変更、有利発行の新株予約権等

                定足数:総株主の議決権の1/3以上を有する株主の出席

                                                可決条件:出席株主の議決権の2/3の賛成

    ◎議決権行使比率は一般的に70%~80%と言われているので、それも考慮すれば、安定株主の

      議決権比率は普通決議、役員選任決議に対応できるレベルは35%~40%以上、特別決議まで

    対応できるレベルは47%~54% 

  ②総会の議案の検討開始

    ◎総会で決議する議案(剰余金の配当、取締役・監査役の選任、定款の一部変更等)の検討を

       開始。最終決定は5月上旬の決算取締役会  

 3)総会の運営サポートのリソース選定

  ①総会の運営支援会社の選定

    ◎非上場時の株主総会とは株主数や株主構成が大きく異なる点、上場会社の総会では会社法に

      基づく適法な運営が求められる点等を考えると、上場会社の総会運営に詳しい担当者がいない

      場合は、初回だけでも社外の運営サポート会社(信託銀行、ディスクロ印刷会社、当社を含む

    運営コンサル会社等)に総会準備・運営の支援を求めるべき

  ②総会の運営を指導する顧問弁護士の選任

    会社法に基づく適法な運営を行うということは、突き詰めれば「決議取り消しの訴え」を

      起こされない、起こされても勝訴できるということであり、そのためには上場会社の総会指導の

            経験が豊富な弁護士が不可欠。会社が契約している顧問弁護士がそのような方であれば問題ないが、

       そうでない場合は適任な弁護士に総会指導を依頼(上記の運営サポート会社に相談すると紹介して

             くれるケースあり。当社も紹介可能

 4)他の上場会社の株主総会の傍聴

  ◎総会の議長を務める経営トップと、後記の「総会プロジェクトチーム」の責任者である管理部門

    担当役員や総務担当役員は、上場している他社の総会を傍聴して雰囲気を感じとることが必要

  ◎これからであれば数は少ないが、1月決算4月総会会社や2月決算5月総会会社の総会傍聴を

            信託銀行に相談

2.決算期(3月31日)から決算取締役会(5月上旬)までの準備

 1)総会基準日の設定

   ◎総会で議決権を行使できる株主を特定するため、3月31日を総会基準日に設定

 2)「総会プロジェクトチーム」の組成と事前勉強会の開催

   ①「総会プロジェクトチーム」の組成

    ◎上場後2回目の総会から外部のサポートを受けずに自力で総会対応するためには、

     4月上旬に総会の準備・運営を行う「総会プロジェクトチーム」を社内で立ち上げ、

     作業するたびにその内容や留意点を「総会マニュアル」に記入

    ◎「総会プロジェクトチーム」の責任者は管理部門担当役員や総務担当役員。

     事務局は当社のような外部の運営サポート会社が担当。

     社内メンバーは総務3名(5月、6月は専任化が必須。各種総会資料や「総会マニュアル」

        の作成を担当)+財務・経理2~3名(計算種類、決算短信、有価証券報告書等作成)

      +各部門1名(想定問答集作成等)

   ②事前勉強会の開催

    ◎事務局である運営サポート会社が講師となって、「総会プロジェクトチーム」のメンバーに        

     各種総会資料の作成理由や内容をレクチャー。

     メンバーが総会の準備、運営をこの勉強会を通じて早く理解しないと「総会マニュアル」の

     作成につながらない

      ※各種総会資料

         ■株主送付資料

         総会招集通知、事業報告、連結・単体の貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表、

         監査法人・監査役会の監査報告書 等

         ■総会運営資料

         総会シナリオ(フルシナリオ、議長シナリオ、議長代理シナリオ)、スライド・ナレーション、

         想定問答集・データブック、

         事務局が議長に渡す株主総会動議対応読み上げメモ(議長不信任動議、休憩動議、議案の修正動議、

         議事進行動議等が出された場合の議場)、

         地震等の災害発生時の対応読み上げメモ、総会レイアウト図、事務局配置図、

         総会当日の役員・事務局の行動スケジュール 等

        ■総会関係の東証開示・金融庁開示資料

         ストックオプションとして新株予約権を特別決議する場合の東証開示資料、総会当日の議決権の

         行使状況に関する臨時報告書 等

 3)主懇親会の開催要否の検討

   ◎株主総会直後にSR(株主広報)として株主懇親会を開催するか検討。

   株主総会の事業報告は、「対処すべき課題」を除き全て過去の報告。会社の今後の取り組み

   (将来の話)を株主に経営トップが直接伝える場として株主懇親会を開催する意味は十分ある。

      ただし、株主懇親会は一旦始めると止められなくなる(止める理由づけが難しいから)ので

   開催するかは熟慮すべき

 4)総会準備スケジュールの作成と進捗フォロー

  ◎総会の準備作業(以下に記載するものは全て)のアクションプラン(いつまでに誰が何をやるか)

   を作成し、その情報を「総会プロジェクトチーム」のメンバーが共有化

  ◎「総会プロジェクトチーム」の事務局は、準備作業の進捗状況をアクションプランで毎日チェックし、

   遅れの出ているものについては、週単位で取り戻す施策を検討して実施 

 )決算取締役会の準備と決算発表

  ①株主送付資料と決算資料の作成

   ◎事業報告、計算書類、総会招集通知等の原案作成

    ◎決算短信の原案作成

  ②監査法人、監査役会の監査

    ◎事業報告、計算書類等の原案の監査を受け、無限定適正意見をもらう

     ◎監査報告書の提出時期 

              ・監査法人の監査報告書:遅くとも決算取締役会の2日前までに提出

     ・監査役会の監査報告書:遅くとも決算取締役会の前日までに提出

  ③決算取締役会の議題

      ◎決算承認(決算短信)  

   ◎事業報告、計算書類の承認

   ◎総会の招集と付議事項の決定(総会招集通知の記載事項)

    ・招集:招集日時と場所

    ・付議事項:議題(報告事項と決議事項)

       ※監査報告書で無限定適正意見が出されれば、計算書類は総会の報告事項になる

  ④決算発表

   ◎決算取締役会での上記の議題承認を受け、当日の午後3時以降(東証の場が閉まってから)に

    決算短信の東証開示を行って決算発表

3.決算取締役会以降(5月中旬)から総会前日(6月末)までの準備

 1)総会運営方法の決定

   ◎以下の総会運営方法を顧問弁護士と相談し、総会議長になる経営トップと総会責任者の管理部門

    トップに説明して了解を取る

     ・会社法に基づく総会運営方法(議事整理と秩序維持)を検討

    ・総会全体の想定時間、質問者数と質疑応答時間の想定

    ・株主からの質問受付方法(報告事項終了後に報告事項の質問を受付し、決議事項の質問は

               議案の説明後にその都度受付るのか、決議事項説明後に報告事項の質問も含めて全ての質問を

     受付るのか)

     ・回答担当役員の質問に対する回答の要領

     ・動議対応、質疑打ち切り

     ・質問状の対応

     ・総会のビジュアル化の採否(スライド、ナレーション) 等

 2)株主送付書類の印刷、校了と招集通知の発送

   ①招集通知、事業報告、計算書類等の印刷・校了(ディスクロ印刷会社が担当)

            ◎プロジェクトメンバー全員は最低2回、顧問弁護士は1回校正し、誤字脱字等を確実にチェック

   ②招集通知の発送(総会の2週間前までに信託銀行証券代行部が発送)

    ◎招集通知が届いた株主から電話やメールで質問が来た場合、想定問答集に沿って丁寧に回答する。

 3)総会シナリオ、想定問答集、データブックの作成

   ①先ず総会シナリオを完成させ、スライド・ナレーションで説明を行う場合はこれを使ってナレーション

    原稿とスライド作成をディスクロ印刷会社に依頼

           ②想定問答集とデータブックはセットで作成。

   想定問答集は重要な質疑に絞り込んで100頁程度とし、回答担当役員の事前勉強テキストという位置づけ

   にする。プロジェクトの総務メンバーが、質問されたら回答に窮するような質問を作成し、該当部門の

   プロジェクトメンバーに回答作成を依頼。

          監査役の想定問答集については、常勤監査役が自ら作成するのか、プロジェクトで作成するのかを

     予め常勤監査役と打合せて明確にする

   ③役員が全員参加する総会リハーサルの1週間前までに総会シナリオ、想定問答集、データブックを

    全役員に配布

 4)総会リハーサルの実施

   ◎通常は2回実施するが、上場会社として初めての総会なので3回実施

    ・1回目:議長の総会シナリオの読み合わせ

    ・2回目:社内会議室で全役員、顧問弁護士、総会プロジェクトチーム、社員株主が参加。

           会議室に総会のレイアウトを作り、議長が総会のシナリオを1回通しで読み上げ、

         議長の議事進行や動議対応、回答担当役員の質疑応答に関するリハーサルを行う          

    ・3回目:総会の前日夕方に実際の総会会場でレイアウトを設定してリハーサルを行う。

           メンバーやリハーサルの方法は2回目と同じであるが、2回目で生じた問題点の解消

               に重点を置く

 5)総会前日の票読み

   ◎上記の3回目のリハーサル終了後に、議決権行使書の最終集計結果や大株主の出欠連絡から、

    各議案の定足数や可決条件の充足状況を確認。その結果をプロジェクトで共有化し、議長に報告

4.総会当日の運営

  1)議決権個数の集計

   ◎受付が終了した出席株主の議決権個数を集計し、前日集計した議決権行使書の議決権個数と

    合算して総会の議案の定足数に充足しているかをチェックし、総会で事務局が報告

  2)事務局として議長を補佐

   ◎顧問弁護士と協力して議長の議事運営を補佐

  3)総会当日の議決権の行使状況に関する臨時報告書の開示

  4)有価証券報告書の提出

   ◎有価証券報告書を財務・経理部門が金融庁に提出 

5.当社のサポートサービス

  1)「総会プロジェクトチーム」の事務局活動

    総会準備、総会当日運営、次回からの自力対応を可能にする「総会マニュアル」整備等の支援を行う

  2)具体的な支援内容

        ◎4月~7月中旬まで原則週1回出社しての支援

    ◎「総会プロジェクトチーム」のキックオフミーティングで総会運営準備の全体像と

     準備スケジュールを説明

    ◎「総会プロジェクトチーム」の事前勉強会の講師

    ◎決算取締役会の準備支援

    ◎総会運営方法の検討

    ◎株主送付書類の印刷かの校正

    ◎総会シナリオ、想定問答集、データブックの作成支援

    ◎総会リハーサルの支援

    ◎総会前日の票読み支援

    ◎総会当日の事務局として議決権個数集計支援、議長補佐

    ◎「総会マニュアル」の作成支援     

□ □ □ □
 
🔶ACS便りは毎月1日(1日が休日の場合は前営業日)に配信します。
 内容についてご意見があれば遠慮なくご連絡願います。 
🔶メルマガの配信停止をご希望の方は、お手数ですがその旨のご返信をお願いいたします。
 
                                                                                以 上
新着情報一覧