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2017年7月15日

IT業界の今後の展望

“どうなる!?システムインテグレーター業界(1)”~ACS便りNo.16 

〈愛用のGibson 〉
大変お世話になっております。

株式会社ACSの淡路です。

ACS便りNo.162017/7/15)』を送付します。

□ □ □ □

先日、機関投資家向けIRセミナーの講師を努め、「システムインテグレーター業界(以下SI業界)の今後の展望」について私見を述べさせていただきました。その際のプレゼン資料は既に弊社ホームページに掲載しておりますが、今回からACS便りでその説明を行います。今後の予定は以下のとおりです。

〈今後の予定〉
 ・1回目(7/15配信):足元の動向(2016年度業績、2017年度業績予想、株価と株価指標)  

 ・2回目(8/ 1配信):過去から引きずる課題の展望(受託開発の構造変化、不採案件の発生)                                            

 ・3回目(8/15配信):過去から引きずる課題の展望(海外事業の展開、業界再編とM&A) 

 ・4回目(9/ 1配信) :今後の課題と展望(技術革新、働き方改革への対応) 
なお、下記の資料を参照しながら以下の説明文をお読みいただくようお願いいたします。
  【資料掲載】http://acs523.co.jp/news/news_124/

1.本題に入る前に
 ①SI業界とは?
  受託開発(スクラッチ開発)つまりお客様の指定する仕様でお客様のオリジナルのシステムを構築・運用

  する会社 (SIer、エスアイヤーと読みます)が集まる業界のことです。

  SIerはソリューションやパッケージソフトによるシステム構築やハードウェア・ソフトウェア製品の

  販売も行うのが通常ですが、事業の主体は受託開発です。 
 ②SIerの分類
       ☒資本構成による分類
   SIerには、『メーカー系』(ハードウェアメーカーで受託開発を行っている会社およびそのグループ

   会社。富士通、日立製作所、日本IBM、NEC等)、『ユーザー系』(社内の情報システム部門を分社化

   した会社。NTTデータ、NRI、SCSK等)、『独立系』(親会社を持たない会社。TIS、富士ソフト等)と

   いう分類があります。
       ☒事業規模と上場・非上場による分類
   ここではSIerを大手(売上規模が1,000億円以上)と中堅(売上規模が1,000億円未満)に分類し、

   東証1部上場企業の大手7社と中堅7社を対象にしてSI業界を論じていきます。
    ■大手7社
     NTTデータ、NRI(野村総合研究所)、SCSK、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)、
     TIS(旧ITホールディングス)、NSSOL(新日鉄住金ソリューションズ)、富士ソフト
    ■中堅7社
     DTS、ISID(電通国際情報システム)、NSD、CACHD(CAC Holdings)、

     CEC(シーイーシー)、SRAHD(SRAホールディングス)、クレスコ   


2.足元の動向
 ①2016年度業績(資料P3~P7参照)
  ☒業績実績値

    ■大手
    ・売上規模
     1兆円台がNTTデータ、4,000億円台はNRIとCTC、3,000億円台はTISとSCSK、

     2,000億円台はNSSOL、1,000億円台は富士ソフト
    ・増収率
     平均5.1%(会社によって0.7%~7.3%の幅あり)
    ・営業利益水準
     1,000億円台はNTTデータ、500億円台がNRI、300億円台はSCSKとCTC、
     200億円台はTISとNSSOL、100億円未満が富士ソフト
    ・営業利益増益率
     平均9.9%(会社によって0.4%~16.1%の幅あり)
    ・収益モデル
     粗利益率25%、販管費率17%、営業利益率8%   
      ※営業利益率2桁はNRIとSCSKの2社      
    ■中堅
    ・売上規模
     700億円台はDTSとISID、500億円台はNSDとCACHD、400億円台はCEC、
     300億円台はSRAHDとクレスコ
    ・増収率
     平均1.6%(会社によって-3.2%~7.4%の幅あり)で低成長
    ・営業利益水準
     70億円台はDTSとNSD、60億円台がISID、40億円台はSRAHD、30億円台はCEC、
      20億円台はクレスコ、10億円台はCACHD
    ・営業利益増益率
     平均7.7%(会社によって-0.6%~12.5%の幅あり)で大手より低い
    ・収益モデル
     粗利益率23%、販管費率14%、営業利益率9%
     大手と比べると、粗利益率が低いが販管費率を抑え営業利益率は若干上回る
      ※営業利益率2桁はDTS、NSD、SRAHDの3社
  ☒分析
    ■全般
    ・良好な事業環境を背景に、業界の大半の会社は既存事業が好調で営業利益が増益(新規事業や成長戦略
     が大きく業績に貢献したわけではない)
   ・ROE10%を超える会社が14社中11社あり、配当性向も10社は30%以上。 株主資本の効率化と株主還元
    の充実を意識した経営を実践
   ■売上高
   ・2016年度の国内ITサービス市場の成長率(IDC Japan)は1.4%(2014・2015年度の成長率は、金融
    機関のシステム統合案件等で需要が拡大し3%超)。6%~7%と高い増収率の会社がある一方で、
    横ばいとマイナス成長の会社もあり二極化
   ■営業利益
   ・収益性の高い案件獲得や開発コストの削減により粗利益率が向上。売上が伸びない会社でも利益率
    アップで営業増益。業績に大きな影響を与える「不採算案件」もなし
   ■EPS(1株当たり当期純利益)
   ・200円を超える会社が4社あり、150円を切る会社は大手で1社、中堅で4社
  ☒過去10年間(2007年度~2016年度)の業績分析
      ■この10年は、リーマンショックで落ち込んだ業績をリーマンショック前の過去最高業績まで回復
     させて更新する期間。他の業種より回復に時間がかかった
   ■この業界も他の業界同様、2007年度に過去最高業績が集中。リーマンショックの影響で過去最低
      に落ち込んだのは2009年度から2011年度
   ■大手は2015年度までに過去最高業績を更新。中堅の大半は2016年度までに過去最高を更新したが、
            過去最高まで回復していない会社もあり、大手より遅れている
   ■上記の業績回復過程を経てできあがった2016年度の収益モデル(大手:粗利益率25%、販管費率17%
           営業利益率8%、中堅:粗利益率23%、販管費率14%、営業利益率9%)は受託開発のビジネスモデル
   (人工ビジネス)の限界収益に近い⇒SIerにとってビジネスモデルの変革は急務
 ②2017年度業績予想(資料P8~P12参照)
  ☒業績予想値
      ■全般
    ・売上は低成長、営業利益・経常利益も5%台の増益率に止まり、収益の高い伸びは期待できない
   ■売上高
   ・2017年度の国内ITサービス市場の成長率(IDC Japan)は 1.3%で前年度より弱含み。
    このような市場環境を踏まえ、増収率は大手が1%台~4%台、中堅は2%台~5%台で低成長
   ■営業利益
   ・営業利益率は2016年度実績(大手8%、中堅9%)と変わらず
   ■EPS(1株当たり当期純利益)
   ・200円を超える会社が5社(NTTデータを含む)あり、100円を切る会社は中堅で1社       
   ■配当性向
   ・20%を割り込むのはTISと富士ソフトの2社だけ。
    40%以上は6社でSRAHDは中計の目標値どおり50%超     
 ③株価と株価指標(資料P13~P14参照)
  ☒株価水準(2017年6月) 
   ・6,000円台:NTTデータ  
   ・5,000円前後:SCSK
   ・4,000円台:NRI  
   ・4,000円前後:CTC
   ・3,000円台後半:クレスコ、DTS  
   ・3,000円前半:富士ソフト、TIS
   ・3,000円前後:SRAHD
   ・2,000円台後半:ISID、NSSOL 
   ・2,000円前後:CEC、NSD   
   ・1,000円台前半:CACHD
     ※中堅のクレスコとDTSの株価が、大手の富士ソフト、TIS、NSSOLより高い
  ☒株価指標(2017年7月3日)
   ■PER
    15倍程度の低い(割安な)銘柄はTIS、DTS、
    CEC、SRAHD
   ■PBR
    1倍割れはCACHD1社

【ビジネス豆知識】 今回はお休みします。 

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(acs523.co.jp/news/news_128)(acs523.co.jp/news/news_96)(acs523.co.jp/news/news_62

                                                                                     以 上

 

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